乗り越える力を育む ― 2014/09/24
最近、パソコンの調子が悪く、書いたブログを保存しようとすると無線スイッチがオフになり、なかなか書き込めません。何度同じブログを書いていることやら。今回はアップできるでしょうか。
エイデル研究所から、今月の「園と家庭をむすぐげ・ん・き」が送ってきました。チラッと広げてみたら、すべての仕事を投げ出して最後まで読んでしまうほどおもしろい。編集者にすぐに、「今月号最高!ブログに紹介させて」と話しました。そしていつものごとく、「どうして、こんなにいい雑誌が本屋に平積みになっていないの」と。
私が何に盛り上がったかというと、まず最初の近藤卓先生の「乗り越える力をはぐくむー乳幼児期の育ちと自尊感情」です。赤線と書き込みが、びっしりになりました。

PTG(ポストトラウマティック・グロウス:心に傷を負うような経験の後で成長すること)の概念の説明と、それを引き起こす条件として、ソーシャルサポート、価値観、パーソナリティ、レジリエンス、曖昧性耐性、基本的自尊感情があることの説明が続きます。乳幼児期の適切な保育が、生涯をたくましく生きる土台となることを読み取ることができます。最新の理論が14ページも読めるなんてとてもぜいたく。合わせて、フレーベル館「保育ナビ」の汐見先生のフラッシュカードに関するエッセーを読むのが私のお勧め。
次の赤西雅之園長先生のお話も、今月はたっぷりと実践の話。日頃の保育の実践と保護者支援、連携の実践が目に浮かぶようにつづられています。ここまで詳しいと、自分もやってみようと思う方が多いかもしれません。
「これだよ!これ!」、「こういう記事が毎月どの保育雑誌にも載れば、どれだけ保育の質が上がるだろう」とブツブツ言いながら読んだのが、瀧薫先生の「保育と月刊絵本」です。一冊の絵本から、子どもたちの遊びがどのように展開していったか、一週目、二週目、三週目、四週目とカラー写真を交えて描かれています。

私が保育者だったとき、字ばかりの実践記録を読みそれを想像しては真似したものでした。カラー写真で子どもたちが遊ぶ姿を見ることができるなんて、なんて良い時代でしょう。
幼児期の遊びは継続的なもの。そのため、取材することも、記事としてまとめることも難しい。「○○を作ろう」、「○○のうた遊び」のように、その場だけ、その時間だけで完結するものは雑誌に掲載しやすい。でも、保育の質を高めることができる記事は、子どもたちが展開する遊びの実践です。
保育雑誌の真似で全国の園の壁に同じものが張られているのですから、保育雑誌が保育内容に与える影響はとても大きいと感じています。子どもの発達と保育の原理に基づいた保育実践と、実践を支える理論が毎月紹介されていき、保育者が専門性に基づいた保育雑誌を選ぶようになれば、日本の保育の質はきっと変わるだろうと希望を抱きました。