教材庫の工夫2016/09/01

最近、保育園は新設と改築のラッシュです。
新築や改築した園へ伺ったときには、
保育者の方に「どこが使いにくいですか」と尋ねるようにしています。
するとけっこう出るのが、「倉庫」なんです。
倉庫が少なすぎる、遠すぎる、物の出し入れがしにくい等々。
そのために、ロッカーの上が物置になってしまう園も。
そこで今回は、倉庫・教材庫の工夫を集めてみました。


まずは、日野の森保育園さん。右に見えるドアが保育室に作られた教材庫です。
日野の森保育園さんの実践は、「新幼児と保育」4,5月号でご紹介しました。
絵本を共有体験としたプロジェクト保育では、素材の準備が重要。
たとえば上のクラスは「ジャックと豆の木」の絵本の世界で遊んでいますが、
子どもが豆をつくりたいと言い始めてから、緑の毛糸や紙を注文するのでは遅い。
絵本を読んでいるときから、教材庫に素材や道具の準備を始めるとのことでした。
横にスライドする引き戸で、物の出し入れがしやすそうです。


次は「環境構成の理論と実践」で写真の掲載が最も多いながかみ保育園さん。
子育て支援のお部屋ですが、左右に天井までの大きな倉庫があります。
どの部屋も、こんな感じで天井までの物入れが充実しています。


こちらは、今年開園したくだま第二保育園さん。
二つの保育室から出入りできる教材庫。
広くて、棚が多く、保育者がとても使いやすそうでした。


こちらは大徳学園さん。
保育室には、こどもたちの遊びの世界が広がっていますが、
それは、棚にカーテンをかけて目隠しをしているからこそ。
先生方が工夫して遊びのイメージが広がりやすいようにしています。


優れた幼児教育の実践で私たちを驚かせてくれる和光保育園さん(千葉)も、
各保育室に様々な収納が組み込まれています。
食事の前に壁からワゴンを引き出し、そこから自分で椅子を取り出す子どもたち。


最後はときわ保育園さん。
教材庫と、教材製作の場と、保護者の空間など多機能に使用できる空間がありました。


これまで見学させていただいた園のなかで
最も教材に関する空間が多かったのは、千葉の松の実保育園さんでした。
(すみません。写真はなしです)
コダーイ教育芸術研究所が出版した本に、数多くの実践を提供していらっしゃいます。
保育者が教材をつくる空間やお茶を飲む空間など、保育者のための空間も充実していました。

保育園では、同じ保育室のなかで
遊びと午睡と食事が行われることが多いため、
どんな素材を選び、それらをどの程度保育室内に出しておくかが、
子どもと保育者の暮らしの質に直結します。
また、保育者の労働の質と量にも影響します。

そのため、保育園は幼稚園よりも、
教材庫の機能性が重要になるかもしれません。
アトリエやレストランなど、機能別空間の確保で、
暮らしの質を保障する方法もあります。

新しい「幼稚園教育要領」のたたき台には、
教師の役割に「教材研究」が示されています。
子どもがイメージを広げ、創意工夫ができ、
深い学びを促す素材と道具選び、
そして教材庫が、今後ますます重要になりそうです。

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