新宿スタジオから環境のDVDが出ました2020/01/22

昨年3月に撮影に伺って以来、「いつになったら出るの?」と言われ続けていた環境の研修用DVD。
大変にお待たせしました。やっと第二巻が完成しました。

第一巻は、理論編。
私の研修会の前半部分を30分程度にまとめました。
何のために環境をつくるのか
乳幼児期の遊びとはどのようなものか、、
保育者の「子ども観・遊び観・保育観」を共有することなどが主な内容です。

これで各園で何度でも繰り返し研修ができる環境が整いました。
研修に参加しにくいパートの職員や新人の先生との情報共有に使っていただければと思います。


第二巻は、実践編。
室内の遊び、二つの園の園庭での遊び
食事から午睡の生活場面は、一人の子どもを追った映像と、クラス全体を追った映像の二つです。
先生方に撮影していただいた映像と、プロのカメラマンが撮影した映像を編集しました。
どの映像が保育者で、どの映像がカメラマンか、推測するのも面白いと思います。

映像を見た人が、「心がざわざわする場面」を多く残しました。
また、解説ではなく「問い」を入れています。(問いを消して見ることもできます)

登場する園は、開園して9か月、2年、11年、13年、47年とバラエティに富んでいます。

なかでも今年4月に開園したばかりの園で撮影した2歳児の食事には大変に驚かされました。
その日は保育指導の日と重なり、カメラマンと私、メモを持った指導者が2名、
合計4名が見ているなかでの保育でした。(ほんとにごめんなさい)
でも新人の二人の先生方は、落ち着いて保育をされていました。
撮影は月曜日でしたが、保育室にはおだやかな空気が流れていて、
子どもや保育者の声は、心地よいものでした。
高性能のマイクは甲高い音ばかり拾うので、実際の現場の音とは少し違います。
あっ、園の先生とプロが撮影したものを見分けるヒントを書いてしまいましたね。

DVDは、新宿スタジオのホームページ他、全国のこどものとも社さんが取り扱ってくださいます。

「直そうとしない」という原則2019/12/01

脳の可塑性に関連する本を読み漁るなかで、
久しぶりに興奮させられる本と出合いました。

アナット・バニエル『限界を超える子どもたちー脳・身体・障害への新たなアプローチ』
翻訳伊藤夏子・瀬戸典子、太郎次郎社エディタス、2018 
う~ん、中身も編集も、太郎次郎社っぽい。

特別な支援を必要とする子どもの心と体へと働きかける
「アナット・バニエル・メソッド」。
そこで大事にしている9つのことを
実践と結び付けて紹介しています。
動作法や、ムーブメント教育、演劇療法、感覚統合療法とも違う独自の実践です。

「9つの大事なこと」は、以下の通りです。
1動きに注意を向けること
2ゆっくり
3バリエーション
4微かな(かすかな)力
5内なる熱狂
6ゆるやかな目標設定
7学びのスイッチ
8想像すること、夢みること
9気づき


その内容は、まさに保育に応用できることばかり。
「保育で大事にしたいこと」として以下のような言葉が浮かびました。

大人が、子どもを直そうとせず
できないことを訓練しようとせず、

自分に引き付けようとせずに
子どもに注意を向け、

セカセカ早くを、ゆっくりに
ハキハキ元気を、少し力を抜いて。

子どもがほのかやかすかを感じられるように
わずかな差異に気づけるように
自分に注意を向けられるように。

身体を使うバリエーション豊かな活動と
人とのつながりと喜びのなかで
子どもは学び育っていく。



今井寿美枝先生の「はう運動遊び」は、なぜ驚くような効果が出るのか、
この本を読むと、意味がわかる気がしました。
メモだらけになる本でした。

関わりの質を高める園内研修2019/11/26

大学の広報用模擬授業の撮影がありました。

撮影準備をするスタッフの座り方がすてきで、私も真似してみました。

今回は、4年生の乳児保育(選択)のダイジェスト版を作成していただくことにしました。
本を使って保育者の関わりについて考え、技術を学びます。


本来は、反転授業(本は自宅で読みレポートを持参して話し合う)を行うべきですが、
その方法では、園内研修の進め方を学ぶことができないため、
授業では、本を読むところから始めます。

園内研修や授業を意図してつくったこの本を使います。

最初に、「はじめに」を全員で、ほかの人の声をよく聴きながら読みます。
(合唱と一緒で、ていねいに声を出すことを促します)

次に5人以内のグループに分かれて、
p8~12(関わりを学ぶ必要性~子どもの観点から)を交代で読み、
その後、感じたこと、考えたこと、疑問に思ったことを共有します。
(読む人は、ほかの人が理解しやすいように言葉を丁寧に読み、
聞く人は、疑問や気づきなどを書き込みながら聞きます)
あるグループが「こわい」を連発していたのが印象的でした。
これだけで20分程度です。

ある程度話が出たら、次にp12~17
(関わりを学ぶ必要性~保護者支援の観点から)までを同様に交代で読み、
グループで同様に話し合います。

園内研修の場合には、園の課題にあった演習問題を選びます。
各演習は30分程度ですので、
本文を読むことと合わせて1時間程度でも可能です。

撮影という特殊事情のために、発表をしたり私がまとめたりしましたが、
園内研修の場合には、時間の制限もありますし、
それぞれが気づきや違和感を持ち続けるためにも、
発表やまとめの必要性は低いと思います。
まとめがほしい場合には、
「おわりに」を全員で読む方法があります。

物的環境や時間の環境をある程度整えた園では、
保育者の関わり、言葉の質に焦点をあてる。
それにより物的環境の質が高まるという相乗効果があるようです。

90分の授業がどのように編集されるのか、楽しみです。

追記:
今、「聞くからだ」「気づくからだ」を育くむ保育を探求中です。
昭和の声の出し方や話し方を変えようと努力中ですが、染みついたものが抜けません・・・。

なぜ保育は誰にでもできると思われるのか2019/10/26

掛札逸美先生のホームページを読み、下書きに入れたままの記事があることを思い出しました。
掛札先生は1歳児3対1の配置を再考する新潟県の新聞記事と、人的配置の研究について書かれています。
https://daycaresafety.org/#toppage_update
保育の安全研究・教育センター

地方自治法の改正で児童福祉施設の最低基準は条例で定めることになってから、
保育者の配置人数は、市町村によって格差が生じています。
国の最低基準では1,2歳児は子ども6人に対して保育士1人ですが、新潟県の基準は日本一ですね。

さて、忘れていた記事は、「なぜ保育は誰にでもできると思われるのか」。

それは、保育園は、ただ子どもを預かる場であり、
「子育ては女性であれば本能で誰にでもできる簡単な仕事」と、
考えられているからではないでしょうか。

本屋で平積みになっている本のなかに、次のような文章を見つけました。
保育園不足にふれたあとに、
「幼稚園以前の子供を預かるのだから、保育士の資格などは不可欠ではない。
育児の経験者ならば、誰でもできる。
子供好きの女子学生でも、十分にできる。
要は、泣かれたくらいで右往左往しないことなのだ」
だから、資格をなくせば保育園不足が解消するという論理でした。
博識な方が書かれているだけにつらい。

赤ちゃんを育てるぐらい、誰にでもできる?
できません。
012歳の子どもの理解は難しいものです。
赤ちゃんはスリッパをなめ、手にした食べ物を投げます。
たった一人のかわいいわが子でも、
半数の親がたたいてしまうのが012歳の子育てです。

そのうえ、保育園は集団で子どもを預かり、
教育とケアを行う場所です。
わが子の子育て経験程度で、専門的な技術をもたない人が、
赤ちゃんの三つ子や、よちよち歩きの1歳の六つ子を毎日8時間預かったら、
食事やお昼寝すら満足にさせることができないでしょう。
普通の人であれば、イライラし怒鳴ることもあるのではないでしょうか。

この人数で子どもから離れることなく休憩もとらないクラスもあります。


(国の最低基準は6人に一人ですが、現在は補助金が出ているため5人に1人で書いています)

動き回る複数の子どもたちに、常に目と手を届かせるのは、「人間技」ではありません。
保育士は、聖徳太子以上の能力を求められています。

012歳の子どもたちは、オムツをつけ、食事も睡眠もすべて援助が必要です。
遊びのなかでのケガの危険性も高く、見守ることにも神経を使います。
単に子ども好き程度で、この人数の子どもたちの
食事の世話をし、昼寝をさせ、発達の援助をすることができるでしょうか?
複数の子どもの援助は、家庭の養育とは比べものになりません。
そのうえ、保育園は高い福祉ニーズをもつ家庭の子どもが優先入所です。
家庭で十分なケアを得られない子どもは、一対一のケアが必要です。

この厳しい人的配置のなかでも、
適切な教育とケアを提供している保育園は、
県や市町村、園の持ち出しの予算で人を手厚く配置し、
その上に、保育者が本を購入して学び、休日や夜間に研修に参加して、
環境構成や関わり等の高い技術を修得しているからです。
園と個人の努力で、保育の質は保たれています。
しかし、これまで配置基準が議論になると、
「1歳児は子ども6人に対して保育士1人が適当」と
専門家のなかには回答する人がいました。

1歳児6人に対して、保育者一人で、「保育所保育指針」の内容の保育ができるかどうか、
これが、配置が妥当かどうかの判断基準になるでしょう。
地方自治法が変わったときに作ったアンケート用紙で、
国の最低基準で保育を行う場合に生じる問題を仮説として立てた項目は以下の通りです。

・一人ひとりに対して目が行き届かない
・十分に養護の行き届いた環境をつくることができない
・子ども一人一人の生活リズムを保障できない
・子ども一人一人の気持ちを受け止めることができない
・一人一人と応答的に関わることができない
・食事の世話が十分にできない
・午睡の世話が十分にできない
・外遊びに連れていくことができない
・散歩に連れていくことができない
・子どもの情緒が不安定になりやすい
・かみつきやひっかきなど子ども同士のトラブルが起きる
・かみつきやひっかきなどを事前に止められない
・けがや事故が起きる

質の低い保育が、社会につけを回すことは研究で明らかです。
待機児童を解消しつつ質の高い保育を解消することは難しいことですが、
子どもを預ける保護者にもできることがあります。
仕事が休みの日は自宅で子どもを育てる
仕事を終えたらすぐに迎えに行く
朝夕は子どもに目をかけ、子どもが安定した状態で園に行けるようにする
保育者をねぎらう
議員に働きかけるなど。

保育は、誰にでもできる簡単な仕事と誤解されているために、
人とのコミュニケーションが苦手な学生は、
進路指導で、介護か保育への進学を薦められることもあります。

心優しい保育者が働き続けることができるためには、
保育という仕事へのまなざしを変えることも必要です。

子育て支援施設の支援機能をチェックする2019/10/06

休日は雨。孫たちと一緒に某市の子育て支援センターへ行きました。
でもまた出ました悪い癖。孫と遊ぶより、すぐに環境チェックをしてしまうのです。。。

「子育て中の親子が自由に交流できるフリースペース」とうたわれた施設は、
木の広場や水遊びの広場など設備も充実しています。
しかし実際に利用してみると、
そこは公営の『屋内遊戯場』であり、子育て支援の場ではありませんでした。

まず、全体の空間づくりと、雰囲気づくり。
ショッピングセンターの子どもの遊び場やゲームセンターよりもうるさく、
体感的には80㏈をはるかに超えている感じです。
そのうえ赤ちゃんのコーナーの真横に、楽器のコーナーがあり、赤ちゃんの空間が最もうるさい。
乳児を子育て中の保護者は睡眠不足がちで肩こりもあります。
ここを利用するとますます疲労が増え、頭痛が起きるかもしれません。
大型遊具が多く設置されているコーナーも吸音材を使っていないために、声と音が響いていました。

次は、人的環境です。
スタッフは立って子どもを監視、いえ失礼、子どもの安全を見守っていました。
残念ながら笑顔で親に話しかけたり相談にのる人を、この日は見ることができませんでした。
物的環境を変えれば、スタッフは笑顔で座っていられるのに、う~ん言いたい!と悩みました。

安全性はどうでしょう。
『子育て支援の環境づくり』の事故防止チェックリストの項目を浮かべながらチェック。
赤ちゃんのハイハイ広場には堅いおもちゃ、転倒すると危険な大きさの玩具があります。
幼児が遊ぶ場所には「走りません!」とあちこちに書かれています。
いや、「走りなさい」という環境の情報をなくせばよいのですが・・・。
スタッフは大型遊具のそばに立ち、子どもに「下から登りません」と、注意をしていました。

どこにでもある危険な遊具えん

段差が小さく広い階段、足がかりのある斜面(黄色の矢印部分)は、
ハイハイの赤ちゃんでも登ることができます。
しかし赤ちゃんが上に上って座ると落ちる形状(赤の矢印部分)になっています。
小さな段差をはずしてしまえば、赤ちゃんは上らないので、保護者に注意をしなくてよくなります。

大人が注意をして見ていないと大きな事故が起きる可能性がある遊具は、
公園にも園にもあります。
保護者がハラハラして、わが子だけを見ていないといけない場所では、
人と情報交換をしたり、ちょっとした相談をすることはできません。

子育て支援の場は、安心と心地よさがあることで、相談や、人との気持ちの良い交流が生まれます。

子育て支援の場は、子育てをはじめたばかりの保護者が
気軽に相談し交流できる場所、深刻な相談を防止する場としてつくられました。
集合住宅やまちのなかでは、赤ちゃんや小さな子どもは迷惑がられるばかり。
道ばたや縁側のような居場所や交流の場がなくなった地域のなかで、
みんなで一緒に育てられる場所、それが子育て支援の場です。
まちのハードが子どもが育つ、子どもを育てる環境として貧困になったため、
地域子育て支援拠点が必要になりました。

子どもを健やかに育てられる地域環境がなく、
子育て支援の場に行っても居心地が悪く、
子育てを大変だとしか感じられなければ、
保育園への入園希望者は増える一方でしょう。

子どもが育つ環境として、まちのハードを見直し、
子どもが歩ける、遊べるまちづくりに改善するとともに、
各市町村の子育て支援施設の機能を点検をする必要性を感じました。

子育て支援の機能を果たしているかどうかは、相談件数でチェックができます。
イベント以外の毎日の利用者数と、毎日の相談件数が重要です。

行政や機関が行う巡回相談2019/08/12

毎日暑いですね。この猛暑のなかで、子どもたちに心をくだき、汗を流している先生方、ほんとうにお疲れ様でございます。

全国の保育園の先生たちが抱えている問題は、どの園でも似ていると感じることがあります。
皆さんだったら、次のような状況が起きている園に、どんなアドバイスをしますか?(以下保育者の言葉)

・ものを投げる、破壊する、他の子の遊びを邪魔するなど破壊そのものが遊びとなってしまう。
・一人不安定な子がおもちゃを投げたり絵本を本棚から次々出しては投げ、踏んづけを始めると他の子も影響されて同じことを始める。
・噛み付き、不安定、ハイパーセンシティブな子、抱っこから絶対下りない子などがクラスに何人もいて、その子どもに一人大人が付くと、保育が成り立たない。

いかがでしょうか。うちも似た状況で大変という先生方、いらっしゃるのではないでしょうか。
私も、1歳児クラスでは一人の子どもに保育者がつき、私一人で10人以上見ている状況に疲れ切っていました。
どうしてこのような状況が生まれているのでしょうか。

その子どもが1歳か、2歳か、3歳かによって、行動の捉え方が変わりますね。

物を投げるという行動の捉え方でも、
子どもが、保育者の関心をひきたがっているのか?
それとも発達欲求で粗大な運動を求めているのか?
「乱暴な行動をしなさい」という情報を出している物的環境なのか?
発達欲求が満足できない物的環境のせいなのか?
によって対応が変わります。

情緒が不安定な子どもも、
朝からお菓子しか食べていないから?
眠りが足りないから?
家庭で映像漬けで脳疲労を起こしているから?
体調が悪いことが多いから?
家庭で安心感が得られないような状況があるから?
安心感のない居場所がない保育室だから?
その子どもの特性?
など、さまざまな要因が考えられます。


ではこのような「困った」ことが起きたときに、専門家としてどうするか。
保育のなかで困ったとき、「医者ならどうするか」と考えてみましょう。
保育者は、保育実践の専門家です。

①本など情報を探して読み、その子どもの理解と対応を変える
②本など情報を探して読み、保育内容を変える
③本など情報を探して読み、物的環境を変える
④研修を探して行き、解決策を探す
⑤アドバイザーに来てもらいアドバイスをもらう
⑥みんなで情報を出し合い話し合う
⑦保護者に情報を共有し助けを求める
⑧その状況から自分が出る

私はもっぱら①から④でした。
自分の専門知識が高まると子どもがよく見え、対応のバリエーションも増えます。
保護者にも話がしやすくなります。ただ失敗も多くありました。
図書館にも本をいつもリクエストしていました。
そのときは辛いとしか思えませんでしたが、
大変だったからこそ専門性を高められたのかもしれないと思えます。

⑤のアドバイザーですが、市町村、県によって、
1人~10人以上の「保育指導官」または「保育専門官」がいます。
有名なのは、世田谷区の巡回指導相談です。
長野県の幼児教育のアドバイザーも、保育園に対してとてもいい仕事をされています。
園内で行き詰まったら、行政に連絡して相談してみましょう。
いない場合には、専門官をおいてもらうように働きかけることもできます。
行政以外の専門家に頼みたい場合には、依頼を行います。

特に配慮が必要な子どもや、行動が理解しにくい子どもで悩んでいる場合には、
発達支援センター、療育施設等の専門機関から、アドバイザーを派遣する制度があります。
これは全国どこでも行われていますので調べてみましょう。

⑦の保護者の力を借りることは有効だと思います。
「保育参加」制度をつくり、毎日保護者や祖父母に園を開放し来ていただきましょう。
体遊びやじゃれつき遊び、散歩には、人が多く必要です。
保育者は、日中の「託児」をしているわけではありません。
託児の場合には、保護者の協力を得ることは考えられませんが、
保育者は、保護者とともにその子どもを育てています。
どうしても無理な保護者もいるかもしれませんが、
良い先生に辞められるより有給を使って協力したい父母・祖父母はいるはずです。
保護者の思いを信じ、保護者の力を借りてみましょう。
わが子が幸せでいられるには、クラスの先生も子どもたちも幸せでないと難しいです。

ただ、①~⑦の、調べること、働きかけることは、元気なときにしかできません。
心身が病みそうなときには、⑧を選ぶことがあってもよいと思います。




応答的な関わりを理解するロールプレイ2019/07/28

「保育者の関わりの理論と実践」が、やっとamazonや楽天に流れるようになりました。
職員会議で本を使って演習を行った園より感想が届いています。皆様、ありがとうございます。
感想を読むたびに、本に入れればよかったと感じる補足をこちらに書きますね。

保育では、これまで「言葉かけ」「言葉がけ」と言われすぎています。
柏女霊峰先生も、「発信型の技術」への偏りと、
「受信型の技術」を習得する必要性を、早くから指摘されていました。

演習では「応答的に会話をする」という基本の確認が必要です。
以下の補足は、受容の演習の際にご活用いただければと思います。

私の研修でご覧になったことがあるかもしれませんが、
原色のボールなどを使って、子どもとの会話について考えることができます。
リーダーと子ども役で二人でモデルを見せることや、
全員でロールプレイを行うこともできると思います。
解説は、私の4歳児レベルのイラストで申し訳ありません。


会話はキャッチボール。相手のボールを受け取って投げ返します。


たとえば散歩先で子どもが「まだ遊びたい」という玉を投げてきたら、
子どもの投げたボールをうけとること、これが会話のはじまりです。

でも、大人は子どもの投げたボールは無視しがち・・・


こんな言葉や、

こんな言葉を使いがちかと思います。
自分のボールを投げる前に、まずは子どもが投げたボールを受け取りましょう。

散歩先から帰る、集まりの前に片づけるなど、保育者は日課としてわかっています。
まだ見通しをもてない年齢の子どもには、事前にできることは何か考えることもできます。

また、「帰ろうか」という前に言うべきことはないのか、ハートの部分を考えてみることもできます。



第41回園庭研究会2019/07/19

子どもの顔がイキイキと輝くのは、何かに挑戦しているとき。
子どもが挑戦できる環境をつくりたい、でもケガはさせたくない。
保育者の心は、子どもの育ちの支援と安全との間で、揺れ動きます。

今、園庭や室内に置かれている大型遊具には、保育者が安心して見守ることができないものが多くあります。
そのため、遊具の使用を制限したり、保育者がハラハラと見守ったりせざるを得ません。
私自身、園庭にいるときには、子どもの安全を守るために神経を張詰めていました。

子どもが挑戦でき、保育者が安心して見守ることができる環境
に取り組んでいるのが、おおぞら教育研究所主催の園庭の研究会です。
今回のテーマは、環境改善のプロセス。環境改善のなかで、何が変わっていくのか、
先生方から学びたいと思っています。





まだ女満別空港行きの飛行機と定員には、少し空きがあるそうです。
子どもの挑戦と、保育者の安心が両立できる環境を一緒に見に行ってみませんか?

心身の活動量が高い体操2019/06/05

やっとアサブロの写真UP機能が回復。ブログをアップします。

小学館から「0・1・2歳児の保育」の夏号(2019年6月)が送られてきました。

小学館012歳児の保育
表紙の写真、実にいいですね。

陽だまりの丘保育園のこだわりの乳児保育室、
天野珠路先生の「震災に備える園舎と備蓄」、
「ドイツの保育室の吸音環境」など、気になる記事が満載でした。

でも、やはり最初に読んだのは、
楽しみにしていた今井寿美枝先生の「はう運動遊び」の実践です。

はう運動遊び特集

転んでも手をつかず、顔から転ぶ子どもが増えた、
転んで顔を切った子どもの保護者から厳しい苦情を受けているなど、
現場の悩みを聞いています。
子どもの顔のケガは、保育士の退職につながる深刻な問題です。

地域の子育て家庭への支援が、0歳児の保護者に届いていない地域では、
転んだときに手が出ない子どもが多く入園してくると思います。

転んでも手が出ない子どもさんの保護者に
「顔から転ばないためには、家庭でこんな遊びをするとよいですよ」
とお伝えするためにも、保育者ははう運動あそびを知っておきたいもの。
「はう運動あそび」は、協調運動であり、活動量が高いことに加え、
人との関わりが伴い、目を合わせて笑いあえることが特徴です。

今井先生の三部作。子どもの発達が気になる保護者にもお勧めしたい。

幼児期の子どもがぐんぐん変わる3部作

そして今回今井先生がはう運動あそびを音楽に合わせた体操にしたことを伺いました。
さっそく今井先生にお願いをして送っていただきました。

活動量の高い体操


地域や園庭に子どもが駆け回る広い場や起伏がない場合には、
心身の活動量の高い体操や遊び等で、運動を補ってみるのはいかがでしょうか。

子どもが育つ、子育てしやすいまちってどんなまち?2019/05/10

事故に胸が痛みます。2006年にひだまりの会で作成したパンフレットを掲載します。
このブログはPDFをアップできないため、ダウンロード用ホームページにパンフレットをおきました。

子どもが育つまち

子どもが育つまち

子どもが育つまち

子どもが育つまち

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