日本のワークライフバランス ― 2013/01/10
ある園で、「子どもの健やかな育ちを支えるために長時間保育をやめました」という話を伺いました。
保育者らしい決断だと思いました。子どもの育ちを大切にしていらっしゃるだけではなく、保護者の暮らしも大切にされていらっしゃる園長先生です。
また、別の園では、「家庭に帰すと子どもはテレビに子守をされるだけ。園にいる方が子どもは幸せかも」という話を伺いました。これももっともな話だと思いました。子どもだけで外に遊びに行けるような地域はほとんどありません。
心ある保育者たちは、子どもの育ちを支えたいという思いと、職場や家庭や地域の現状との狭間で苦しんでいます。
保育者らしい決断だと思いました。子どもの育ちを大切にしていらっしゃるだけではなく、保護者の暮らしも大切にされていらっしゃる園長先生です。
また、別の園では、「家庭に帰すと子どもはテレビに子守をされるだけ。園にいる方が子どもは幸せかも」という話を伺いました。これももっともな話だと思いました。子どもだけで外に遊びに行けるような地域はほとんどありません。
心ある保育者たちは、子どもの育ちを支えたいという思いと、職場や家庭や地域の現状との狭間で苦しんでいます。

山口一男、樋口美雄「論争 日本のワーク・ライフ・バランス」日本経済新聞出版社 2008
平成19年(4年前)に行われたシンポジウム『ワーク・ライフ・バランスと男女共同参画』の内容です。ワーク・ライフ・バランスに関連する研究者が8名。各セッションごとに二名が講演、その後互いに意見、それが4セッションという刺激的な内容です。セッションチェアや会場からの質疑と回答もおもしろい。一口にワーク・ライフ・バランスといっても、政策としては多様な方法があることがよくわかります。
いくつか印象に残る言葉を抜書きします。
「私としましては、ワークの中で、あるいはワークの延長線上にどういうふうにライフを考えるかということではなくて、ライフの中でワークを位置づけるということが本来のあり方だという立場をとりたいと思います。ワーク・ライフ・バランスという主張は、どうもワークということを起点にしながらライフを考えているように思えてなりません」
「仕事ワークとそれ以外のバランスというのは、結局は男女両性にとってライフを充実させるためのものであるのですから、いまとられている仕事ワークを中心にしたやり方では、問題の本質にふれません。
(いずれも御船美智子氏:生活経営・生活設計)
「なぜライフからワークを取り出して議論するのかというと、現在の日本では雇用されて働いている人々のライフの現状を考えると、ワークのあり方がライフのあり方を規定する程度が大きい構造になっていることによります。その意味で、ライフのなかのワークが変わらないと、広義のライフを含めたワーク・ライフ・バランス、最近はワーク・ライフ・インテグレーションとも言われますが、それが実現できないと考えているためです」
「私はワーク・ライフ・バランスの説明に際して、仕事以外でやりたいこと、やらなくてはならないことと、仕事の間にコンフリクトがない状態と説明しました。つまり、ワーク・ライフ・バランス支援は、子育て支援に限定されないのです。ですから、仕事以外の生活には、例えば勉強、趣味、遊び、健康維持なども入ります」
(いずれも佐藤博樹氏:人事管理・産業社会学)
「保育サービスを増やすことだとか、専業主婦が集う拠点を作っていくとか、そういう政策については私自身も必要だと思っているのですが、それらの量的な数を増やすという政策ではなくて、その質に対してはいろいろ問題があると思っていて、そこが現在の政策との相違点です」
「子育て支援策について今はもう方向や器はある程度できていますが、その質をどう変えていくかという点では考えるべき課題があると思っています」
「経済的発想によって女性の働く権利だとか、選択の自由、便利な社会というプラスの面があったと思いますけれども、一方で子育てにかかわる時間が減っていくとか、人々のつながりが希薄化して不安になったりですとか、子どもの環境が悪化しているというようなことも起こってきています。ですから精神的な面や自然環境などの議論に、経済学がもっと取り組めないか、また、教育についても労働力というだけではなくて、例えば社会力を高めていく教育というような議論も必要になってくるのではないか、というふうに思います」
(いずれも池本美香氏:保育・教育政策、社会保障制度)
「しばしば、育児休業制度や保育所の整備など両立支援をしてきたのに、結婚出産を経て継続就業する女性はなぜ増えないのかという疑問の声が聞かれます。私は、その背景のひとつには、育児休業、保育所、働き方のいずれも柔軟性が乏しく、①育児休業を利用して育児に専念した後、保育所を活用して長時間就業することと、②育児休業も保育所も利用しないで専業主婦として子育てをすること、これらの二者択一から抜け出せないことがあることがあると思っています」
(権丈英子氏:労働経済学・社会保障論)
日本では男女の賃金格差が高いこと、男性は正規職員が多く女性は少ないこと、正規職員間でも男女差別があることはデータを示されなくても、経験的に理解しているかと思いますが、ここでは男女の賃金格差は統計的差別か、真の差別かなど、おもしろい議論が交わされます。
こういう本を読んでいると、さまざまな人たちの努力によって世の中は変わっていくという実感が湧いてきます。
この本では範囲外でしたが、ワーク・ライフ・バランスを進める企業はどのようなミッションをもっているのか、ワーカホリックを生み出す職場風土、育児休業を取れる職場の風土などを読んでみたいですね。
ワーク・ライフ・バランスを当事者目線で語る本としては、元祖イクメンの渥美由喜さんの本をどうぞ。
渥美由喜「イクメンで行こう!」日本経済新聞出版社、2010
平成19年(4年前)に行われたシンポジウム『ワーク・ライフ・バランスと男女共同参画』の内容です。ワーク・ライフ・バランスに関連する研究者が8名。各セッションごとに二名が講演、その後互いに意見、それが4セッションという刺激的な内容です。セッションチェアや会場からの質疑と回答もおもしろい。一口にワーク・ライフ・バランスといっても、政策としては多様な方法があることがよくわかります。
いくつか印象に残る言葉を抜書きします。
「私としましては、ワークの中で、あるいはワークの延長線上にどういうふうにライフを考えるかということではなくて、ライフの中でワークを位置づけるということが本来のあり方だという立場をとりたいと思います。ワーク・ライフ・バランスという主張は、どうもワークということを起点にしながらライフを考えているように思えてなりません」
「仕事ワークとそれ以外のバランスというのは、結局は男女両性にとってライフを充実させるためのものであるのですから、いまとられている仕事ワークを中心にしたやり方では、問題の本質にふれません。
(いずれも御船美智子氏:生活経営・生活設計)
「なぜライフからワークを取り出して議論するのかというと、現在の日本では雇用されて働いている人々のライフの現状を考えると、ワークのあり方がライフのあり方を規定する程度が大きい構造になっていることによります。その意味で、ライフのなかのワークが変わらないと、広義のライフを含めたワーク・ライフ・バランス、最近はワーク・ライフ・インテグレーションとも言われますが、それが実現できないと考えているためです」
「私はワーク・ライフ・バランスの説明に際して、仕事以外でやりたいこと、やらなくてはならないことと、仕事の間にコンフリクトがない状態と説明しました。つまり、ワーク・ライフ・バランス支援は、子育て支援に限定されないのです。ですから、仕事以外の生活には、例えば勉強、趣味、遊び、健康維持なども入ります」
(いずれも佐藤博樹氏:人事管理・産業社会学)
「保育サービスを増やすことだとか、専業主婦が集う拠点を作っていくとか、そういう政策については私自身も必要だと思っているのですが、それらの量的な数を増やすという政策ではなくて、その質に対してはいろいろ問題があると思っていて、そこが現在の政策との相違点です」
「子育て支援策について今はもう方向や器はある程度できていますが、その質をどう変えていくかという点では考えるべき課題があると思っています」
「経済的発想によって女性の働く権利だとか、選択の自由、便利な社会というプラスの面があったと思いますけれども、一方で子育てにかかわる時間が減っていくとか、人々のつながりが希薄化して不安になったりですとか、子どもの環境が悪化しているというようなことも起こってきています。ですから精神的な面や自然環境などの議論に、経済学がもっと取り組めないか、また、教育についても労働力というだけではなくて、例えば社会力を高めていく教育というような議論も必要になってくるのではないか、というふうに思います」
(いずれも池本美香氏:保育・教育政策、社会保障制度)
「しばしば、育児休業制度や保育所の整備など両立支援をしてきたのに、結婚出産を経て継続就業する女性はなぜ増えないのかという疑問の声が聞かれます。私は、その背景のひとつには、育児休業、保育所、働き方のいずれも柔軟性が乏しく、①育児休業を利用して育児に専念した後、保育所を活用して長時間就業することと、②育児休業も保育所も利用しないで専業主婦として子育てをすること、これらの二者択一から抜け出せないことがあることがあると思っています」
(権丈英子氏:労働経済学・社会保障論)
日本では男女の賃金格差が高いこと、男性は正規職員が多く女性は少ないこと、正規職員間でも男女差別があることはデータを示されなくても、経験的に理解しているかと思いますが、ここでは男女の賃金格差は統計的差別か、真の差別かなど、おもしろい議論が交わされます。
こういう本を読んでいると、さまざまな人たちの努力によって世の中は変わっていくという実感が湧いてきます。
この本では範囲外でしたが、ワーク・ライフ・バランスを進める企業はどのようなミッションをもっているのか、ワーカホリックを生み出す職場風土、育児休業を取れる職場の風土などを読んでみたいですね。
ワーク・ライフ・バランスを当事者目線で語る本としては、元祖イクメンの渥美由喜さんの本をどうぞ。
渥美由喜「イクメンで行こう!」日本経済新聞出版社、2010

渥美さんとは研究会でご一緒したことがあります。研究会にいつも大きなスーツケースを引っ張ってかけつける渥美さん。(海外出張が多い方だなあ)と思っていましたが、この本を読み、あのスーツケースの中には、紙おむつが入っていたことが判明。渥美パパの家庭と地域と職場での奮闘ぶりに、元気がわいてきます。
しかしながら、暮らしの質を高めるには、育児休業やワーク・ライフ・バランスを進めると同時に、家庭や地域のハードの豊かさを改善することも必要ですね。
たとえ、育児休業を得ても、安心して子どもを育てられる地域がない、というのが日本の多くの地域の現状。
日本のまち(ハード)は、人間に冷たい。まちは車のための場所。人がゆっくり歩ける道路も、人同士が出合える場もありません。(そのために地域子育て支援拠点が必要) 年を重ねて足腰が弱くなれば、斜めの歩道はもう歩けません。家庭は狭く、子どもだけでは外に出られない地域も多い。親子が安心してゆったりと歩ける道も、子どもを安心して遊ばせる公園もない地域が多いのが実情です。分断され、競争をあおられ、長時間働き、商品とサービスの消費でその貧しさを補う大人の暮らし方と価値観が子どもたちの育ちに影響を与えています。
暮らしの質を大切にする価値観が広がり、人を大切にする企業活動・公共政策のあり方を考えていくようになれば、ワーク・ライフ・バランスも進むでしょう。そして、子どもが育つ、子どもを育てる環境として地域社会のつくり直しにも目が向き、ほんとうの意味での子育て支援が広がっていくだろうと思います。
日本の便利で快適な暮らしは、焼野原から働いて働いてご苦労された皆さんの努力の上にあります。
私たち次の世代は、暮らしの「質」を高めることを考え、みんなが幸せに生きられる社会をつくるために努力することが役割なのかもしれません。
特別な支援を必要とする子どもが9.8% ― 2012/12/10
文部科学省から「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について」の結果が公表されました。
文部科学省の調査結果のPDFファイルは以下のアドレスから。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1328849.htm
調査期間は平成24年2月~3月。調査対象は全国(岩手、宮城、福島の3県を除く)の公立小中学校の通常の学級に在籍する児童生徒(小学校35,892人、中学校17,990人)
担任教員が回答した内容から、知的発達に遅れはないものの学習面又は行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒の割合は6.5%。平成14年の調査では6.3%でした。
校種別にみると小学校は7.7%、中学校は4.0%。
学年別では、小学校一年生が9.8%、三年生が7.5%、六年生が6.3%。
この数字からは、学級によっては机に座って先生の話を聞く形式では、授業が成り立たない場合もあるだろうと推測されます。教育・福祉のインクルージョンが進められ、今後ますます子どもの多様性の幅は広がってくるでしょう。教育者は、これまでの教育方法に加えて、多様性の幅が広がっても個々の学びを確保できる方法を持つ必要性があります。
それで思い出したのが、この本。
文部科学省の調査結果のPDFファイルは以下のアドレスから。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1328849.htm
調査期間は平成24年2月~3月。調査対象は全国(岩手、宮城、福島の3県を除く)の公立小中学校の通常の学級に在籍する児童生徒(小学校35,892人、中学校17,990人)
担任教員が回答した内容から、知的発達に遅れはないものの学習面又は行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒の割合は6.5%。平成14年の調査では6.3%でした。
校種別にみると小学校は7.7%、中学校は4.0%。
学年別では、小学校一年生が9.8%、三年生が7.5%、六年生が6.3%。
この数字からは、学級によっては机に座って先生の話を聞く形式では、授業が成り立たない場合もあるだろうと推測されます。教育・福祉のインクルージョンが進められ、今後ますます子どもの多様性の幅は広がってくるでしょう。教育者は、これまでの教育方法に加えて、多様性の幅が広がっても個々の学びを確保できる方法を持つ必要性があります。
それで思い出したのが、この本。

OECD教育研究革新センター「OECD未来の教育改革2個別化していく教育」明石書店、2007
人間には多様性があり、すべての子どもが個別のニーズをもっていることを前提に、その子らしい学びを促進する教育が解説されています。フリーサイズの教育を、オーダーメイドの教育にすることで、排除される子どもと自尊心を削られる子どもが減る可能性が示されます。
保育所では、障がいのある子どもの在籍率も高く、福祉ニーズをもつ多様な家庭の子どもが入所し、かつ乳児も在籍することから子どもの多様性の幅が大きく、その幅に合わせた生活と遊びを通した教育の積み上げが行われてきました。
たとえば、食事の時間はある程度の幅をもたせることで、行動が遅い子どもや障がいがある子どもの行動が問題になりにくくなります。食事の量は子どもによって違っていて当たり前なら保育者は苦しみません。発達に合わせて012歳は発表会をなくして自由参加にした園もあります。子どもの発達段階をよく見極め、自分の体に染みついた「皆さん、ご一緒に」の感覚を捨てることで、子どもに無理をさせなくていいし、保育者も楽になる。このことを先進的な保育に取り組む先生方から学ばせていただきました。
特別な支援を必要としている子どもに対する支援の専門性には、「子どもの多様性の幅に合わせた活動や教材を選択し、時間や空間の環境を準備すること」が考えられます。教育内容のインクルージョンです。これは保育所の保育者に不可欠な専門性ともいえますね。
多様性の幅に合わせた教育内容の選択は大学教育も同じかもしれません。私も日々意識を改めなくては。
人間には多様性があり、すべての子どもが個別のニーズをもっていることを前提に、その子らしい学びを促進する教育が解説されています。フリーサイズの教育を、オーダーメイドの教育にすることで、排除される子どもと自尊心を削られる子どもが減る可能性が示されます。
保育所では、障がいのある子どもの在籍率も高く、福祉ニーズをもつ多様な家庭の子どもが入所し、かつ乳児も在籍することから子どもの多様性の幅が大きく、その幅に合わせた生活と遊びを通した教育の積み上げが行われてきました。
たとえば、食事の時間はある程度の幅をもたせることで、行動が遅い子どもや障がいがある子どもの行動が問題になりにくくなります。食事の量は子どもによって違っていて当たり前なら保育者は苦しみません。発達に合わせて012歳は発表会をなくして自由参加にした園もあります。子どもの発達段階をよく見極め、自分の体に染みついた「皆さん、ご一緒に」の感覚を捨てることで、子どもに無理をさせなくていいし、保育者も楽になる。このことを先進的な保育に取り組む先生方から学ばせていただきました。
特別な支援を必要としている子どもに対する支援の専門性には、「子どもの多様性の幅に合わせた活動や教材を選択し、時間や空間の環境を準備すること」が考えられます。教育内容のインクルージョンです。これは保育所の保育者に不可欠な専門性ともいえますね。
多様性の幅に合わせた教育内容の選択は大学教育も同じかもしれません。私も日々意識を改めなくては。

冬の浜名湖(新幹線より)
あなたの権利章典~燃え尽きない働き方 ― 2012/10/18
高山直子 「働く人のための『読む』カウンセリング ピープル・スキルを磨く」 研究社 2010
図書館で発見。「コミュニケーションスキル」ではなくて、「ピープル・スキル」?、なぜだろうと手に取りました。
図書館で発見。「コミュニケーションスキル」ではなくて、「ピープル・スキル」?、なぜだろうと手に取りました。

コミュニケーションスキルが重視される現代の職場。わたしたちは、職場で出会うすべての人とうまくコミュニケーションをとらないといけないと考えがちですが現実的には難しいもの。人間関係のトラブルで疲弊したり、ハラスメントを受けても見抜けなかった自分が悪いと責めたり・・・人間関係が原因で退職する場合も少なくありません。
筆者が提案するのは、自分が楽になれる人との距離感のとり方や接し方である「ピープル・スキル」。
多種多様な人と信頼関係をつくり、危ない人とは距離をおき、人間関係のストレスを軽減し、疲弊しない働き方をするためのヒントが盛り込まれています。
この本に紹介されているあなたの権利章典には、次のような権利が紹介されています。
*************
あなたの権利章典(Your Bill of Rights)
あなたがあなたらしくある権利
あなたがまず自分を第一に考える権利
あなたが安全を確保する権利
あなたが怒りを感じ、表現する権利
あなたが人としての尊厳を失うことなく扱われる権利
もし不公平に、暴力的に扱われた場合、あなたが怒り抗議する権利
あなたが人間らしくある権利(完璧ではない)
あなたが自分の意見を持ち、表現し、それを真剣に受け止めてもらう権利
あなたの人生に影響のあることに関して質問する権利
あなたに影響のあることについて決断する権利
あなたの気持ちが変わる権利
あなたが「ノー」という権利
あなたが失敗をする権利
あなたが自分の限界と優先順位を設ける権利
あなたが他の人の問題に責任を負わない権利
あなたが好かれない(嫌われる)権利
あなたが自分以外の人の期待に沿った生き方をしない権利
あなたが「スーパーウーマン」「スーパーマン」でなくてもいい権利
あなたが人に助けを求める権利
あなたが自分を許す権利
あなたが自己主張しない権利
あなたが幸せに感じていないのであれば、自分の人生をコントロールし、変えていく権利
************
まじめで誠実な人ほど自分が悪いと思い、自分を追い込んでしまいがちだけれど、
あなたは、もっとあなた自身を大切にしていい、
もっと自分を幸せにしようとしていいし、幸せになっていい。
そんなメッセージが伝わってきます。
医学教育・看護教育に学ぶ ― 2012/09/21
9月5日に下書きを書いていたのに、なぜか今日は9月21日。
私は保育者の養成教育が仕事ですが、なぜか教育学の書棚には医学教育、看護教育の本が並びます。

私は保育者の養成教育が仕事ですが、なぜか教育学の書棚には医学教育、看護教育の本が並びます。

保育士は、「専門的知識及び技術をもって児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を業とする者」のはずなのですが、まだまだ保育は職人技に近い。現場から離れて教授できる専門的知識と技術の体系化は、これからの仕事です。現場の知を理論として構築するために、医学教育と看護師養成に学ぶことは多くあります。
最近みつけた本を紹介します。
John A.Dent/Ronald M.Harden 「医学教育の理論と実践」 篠原出版新社 2010

医師は、一人の人間が実践・教育・研究を兼ねます。しかし医学の最新の専門知識の学習と、教育学の最新の知識の学習を兼ねることは難しい。そこで医学教育の基本原理と最新知識を伝えるために編まれたのがこの本だそうです。私が持っているのは第二版の訳。
本文が497ページと量が多いこともあり、一般的な教育学の概論よりも最新の教育学を網羅されています。事例は医学に特化していますが、応用することが好きな方はとてもおもしろく読めると思います。
ドナルド R.ウッズ 「PBL 判断能力を高める主体的学習」 医学書院 2001

PBL Problem-based iearning 問題に基づく学習 (問題基盤型学習ともいわれる)の学生向けのテキスト。
これ、教師向けのテキストではないのです。学生向け。カナダの看護学生は、これを大学生レベルで理解できるのかと驚いてしまいます。この一冊のなかに熟練した独立型学習者の姿が示されています。
教師向けには、先の「医学教育の理論と実践」に教育方略の一つとして、一章を割いて紹介されています。
西條剛央 「看護研究で迷わないための超入門講座」 医学書院 2009

この本も、書店の看護の棚で発見することができます。7月に西條剛央先生の二日間の研修に参加しました。
なるほどこう進めるのかと講義の組み立てに納得し、予想以上の柔軟な進行にはちょっと驚きました。
研修では、グループで異なる意見をまとめていきます。それ自体が構造構成主義の本領発揮なわけですが、私は自分の考えを相対的に捉えて相手にその位置が見えるように話ができていない、まだ構造構成主義を使いこなせていないなあ~としばし反省。議論のなかでもっとメタレベルで発言できるようになりたい。
その研修会で紹介されていたのが本書でした。構造構成主義を基盤とした研究法が、図解とイラストで書かれています。実にわかりやすい。「看護研究」とタイトルにありますが、「実践研究で迷わないための超入門講座」と変えてもわからないぐらい使えます。これから実践研究に取組もうとしている人、そして実践研究を山のようにやってきた人にも、自信をもってお勧めしたい一冊です。
東大話法を笑う ― 2012/06/05
本を読んで夢をみました。安冨歩「原発危機と東大話法 傍観者の論理・欺瞞の言語」明石書店,2012


筆者は原発危機を招いた専門家や官僚が使用する言葉の技法を「東大話法」と名付け、それを生み出す「東大文化」とともに詳細に解説。今「東大話法」を使っている人はやめ、それを見聞きした人は、「東大話法」だと見抜いて、操作されるのをやめましょうよ、という誠実な主張の本。でもその内容の過激さにドキドキします。
東大話法規則一覧
①自分の信念ではなく、自分の立場に合わせた思考を採用する
②自分の都合のよいように相手の話を解釈する
③都合の悪いことは無視し、都合のよいことだけ返事をする
④都合のよいことがない場合には、関係のない話をしてお茶を濁す
⑤どんなにいい加減でつじつまの合わないことでも自信満々で話す
⑥自分の問題を隠すために、同種の問題を持つ人を、力いっぱい批判する
⑦その場で自分が立派な人だと思われることを言う。
⑧自分を傍観者と見なし、発言者を分類してレッテル貼りし、実体化して属性を勝手に設定し、解説する
⑨「誤解を恐れずに言えば」と言って、嘘をつく
⑩スケープゴートを侮辱することで、読者・聞き手を恫喝し、迎合的な態度を取らせる
⑪相手の知識が自分より低いと見たら、なりふり構わず、自信満々で難しそうな概念を持ち出す
⑫自分の議論を「公平」だと無根拠に断言する
⑬自分の立場に沿って、都合のよい話を集める
⑭羊頭狗肉
⑮わけのわからない見せかけの自己批判によって、誠実さを演出する
⑯わけのわからない理屈を使って相手をケムに巻き、自分の主張を正当化する
⑰ああでもない、こうでもない、と自分がいろいろと知っていることを並べて、賢いところを見せる
⑱ああでもない、こうでもない、と引っ張っておいて、自分の言いたいところに突然落とす
⑲全体のバランスを常に考えて発言せよ
⑳「もし〇〇〇であるとしたら、お詫びします」と言って、謝罪したフリで切り抜ける
著者は、「東大話法」と出会ったときには、「ははあ~」と恐れ入らずに笑っちゃいましょうと呼びかけます。
東大に行っても、いえきっと東大に行ったからこそ欺瞞の言語を使わない先生方がいらっしゃいますし、東大に行かなくても研究という世界で訓練を受けた人間は、多かれ少なかれ「東大文化」や「東大話法」になじんでいます。知ったかぶりや評論家気取りは、人として恥ずかしい行為であり、決してやってはいけないこととして、私はたまたま父から厳しく教えられてきましたが、じっくりと考えたことがないことでもひとまず意見をいうこと、わずかな知識で堂々としゃべること、自分の体を通していない言葉を人に向かって語ることが上手くできるほうが専門家らしく見えるのだろうと思います。
保育者は常に当事者であり傍観者にも評論家にもなれません。自分の体を通した知を語ります。それは人としてかっこいいことです。
・・・私は、夢のなかで群馬の小さな託児所で働いていました。働く期間は三日間限り。
このまま託児所に残るか、大学に戻るか、夢のなかで悩んでいました。私のほんとうの言葉は、保育所で生まれる、でも学生たちとの間にもそれはあると葛藤・・・この夢は、この本に出会ったせいでしょう。
この時代には、傍観者として器用に順応している人より、不器用で立ち止まり、もがき苦しんでいる人の方がずっと誠実に生きているかもしれないのに、いつのまにか思考と行動が傍観者に近づいている自分に気づかされました。
「集団の相互作用が生み出す力に翻弄」、「魂の植民地化」(前掲書)された状態から、協同歩調に乗った暴走が生じることを止めるために、集団の中でふんばって流れを止めてみたり、一人でぐるぐる回ってみたり、ゆっくり動いてみたり、不器用でバカで子どもっぽいこと、いくつになってもやり続けたい、と思います。
このまま託児所に残るか、大学に戻るか、夢のなかで悩んでいました。私のほんとうの言葉は、保育所で生まれる、でも学生たちとの間にもそれはあると葛藤・・・この夢は、この本に出会ったせいでしょう。
この時代には、傍観者として器用に順応している人より、不器用で立ち止まり、もがき苦しんでいる人の方がずっと誠実に生きているかもしれないのに、いつのまにか思考と行動が傍観者に近づいている自分に気づかされました。
「集団の相互作用が生み出す力に翻弄」、「魂の植民地化」(前掲書)された状態から、協同歩調に乗った暴走が生じることを止めるために、集団の中でふんばって流れを止めてみたり、一人でぐるぐる回ってみたり、ゆっくり動いてみたり、不器用でバカで子どもっぽいこと、いくつになってもやり続けたい、と思います。
端的にわかりやすく話をする練習 ― 2012/03/14
私は、人と話をするのが昔からとっても苦手。
そのため、「話し方」に関する本はそーとー読んで練習しているのですが、なかなか上手になりません。
先日、シンポジウムのコメントがとても上手い先生に教えていただいたのが、この本。
そのため、「話し方」に関する本はそーとー読んで練習しているのですが、なかなか上手になりません。
先日、シンポジウムのコメントがとても上手い先生に教えていただいたのが、この本。

斎藤孝「1分で大切なことを伝える技術」PHP新書 図解本も明後日出るらしい。
聡明な人は話が短いっていうけど、なるほど~。短く話をまとめられるには、練習が大事なのね。よしっ。
4月からの授業では、講義を1分でまとめて話す練習時間をつくろう!とまずは学生に練習してもらうことにしました。
講義のパワーポイントに、「一分説明タイム」を入れたので、学生のみんな、楽しみにね。
(「えーっ」といわない、いわない)
保育者って、会議や保護者との連絡など、短くまとめて話さないといけないことが多いから、これいいですね。
それから、話の筋を組み立てる練習の本は、次の一冊。
聡明な人は話が短いっていうけど、なるほど~。短く話をまとめられるには、練習が大事なのね。よしっ。
4月からの授業では、講義を1分でまとめて話す練習時間をつくろう!とまずは学生に練習してもらうことにしました。
講義のパワーポイントに、「一分説明タイム」を入れたので、学生のみんな、楽しみにね。
(「えーっ」といわない、いわない)
保育者って、会議や保護者との連絡など、短くまとめて話さないといけないことが多いから、これいいですね。
それから、話の筋を組み立てる練習の本は、次の一冊。

安田正「ロジカル・コミュニケーション」日本実業出版社、2007
うまく話せない事例は大人で、説明はカナダの中学校の教科書と似ているのが悲しい。日本でも論理的な思考と話し方は、中学校で学びたいですね。
来週の月曜日は、いよいよ、卒業式。。。(しみじみ)
自宅に、ビッグイシューやら、保育雑誌やら、高山の本が残っている人は、返却してから卒業してね。
うまく話せない事例は大人で、説明はカナダの中学校の教科書と似ているのが悲しい。日本でも論理的な思考と話し方は、中学校で学びたいですね。
来週の月曜日は、いよいよ、卒業式。。。(しみじみ)
自宅に、ビッグイシューやら、保育雑誌やら、高山の本が残っている人は、返却してから卒業してね。
西條剛央さんの人を助けるすんごい仕組み ― 2012/03/01
すごい本がでました。

西條剛央「人を助けるすんごい仕組み ボランティア経験のない僕が日本最大級の支援組織をどうつくったのか」ダイアモンド社、2012
大震災から一年が経とうとしています。恥ずかしいことに、西條先生が3.11以後何をしておられたのか、この本で初めて知りました。震災に関する部分はとてもここに言葉にすることはできませんが、「状況と目的から方法を判断」し、「『いなくなる』ことが目標」だとして、「自己増殖モデルを採用」し、ツイッターやフェイスブックといったインフラを使って、猛烈な勢いで組織が創発していくプロセスが描かれています。そこに通うのは、「ことば」と「強い思い」。
組織の巨大化に伴う苦しみの部分も率直に語られます。
・人間は95%の人が賞賛してくれても5人批判する人がいると、批判する人の意見にフォーカスし、20倍ぐらいの重みづけをしてしまう。
・マネジメントやリーダークラスの人たちが多くのエネルギーをトラブルへの対処や人間関係の調整に注がざるをえなくなり、プロジェクトを前に進めるためのエネルギーは着実に奪われていった。
・お金は怖い、など。
西條先生は、並みはずれた構築力で状況のなかから意味を発見し、それらを名付け、共有できる知として発信していきます。どんな状況のなかでも意味を見出し、互いに伝え合い意味を変えていける、これが人間なんだ、人ってすごい。ああ、何を書いているんだか。でもこの本は興奮なしに書けません。構造構成主義が、研究の域を超え、現実を動かす哲学として世界へ広がっていくイメージが湧いてきました。
それにしても・・・ツイッターやフェイスブックは避けていますが、やっぱりやった方がよいのかな。
祈りから始まる保育学会 ― 2012/01/24
週末、聖隷福祉事業団主催の保育学会に参加させていただきました。
保育学会は、福祉施設の内、児童の福祉施設が一堂に介する大会です。場所は遠州栄光教会でした。
最初に礼拝から始まりました。私は教会でお話をしたことはあっても礼拝に参加したのは初めてでちょっぴり緊張。賛美歌をうたい、牧師様から聖書を通して子どもへのまなざしについてお話があり、賛美歌をうたい祈りをささげます。祈りから始まる研究大会。私も今日お集まりの先生方が、一人ももれなく保育者としての誇りと喜びを持ち帰っていただけますように、と深く祈りました。
研究発表は、創造性にあふれるとても時間を使った研究ばかりでした。研究としてまとめることは大変な労作業であったと思います。なかでも、もっともわくわくした研究が、「もしも保育室がからっぽになったら」。楽しそうでしょう?保育者らしいセンスに満ちた研究でした。
コメントでは「保育の当事者学を構築しましょう」とお話をさせていただきました。(そうだ、私たちこそ、保育の専門家だ)と感じて下さった先生方に、私が「当事者学」と出会った本を御紹介したいと思います。
中西正司 ・上野千鶴子 『当事者主権』 岩波書店 2003
保育学会は、福祉施設の内、児童の福祉施設が一堂に介する大会です。場所は遠州栄光教会でした。
最初に礼拝から始まりました。私は教会でお話をしたことはあっても礼拝に参加したのは初めてでちょっぴり緊張。賛美歌をうたい、牧師様から聖書を通して子どもへのまなざしについてお話があり、賛美歌をうたい祈りをささげます。祈りから始まる研究大会。私も今日お集まりの先生方が、一人ももれなく保育者としての誇りと喜びを持ち帰っていただけますように、と深く祈りました。
研究発表は、創造性にあふれるとても時間を使った研究ばかりでした。研究としてまとめることは大変な労作業であったと思います。なかでも、もっともわくわくした研究が、「もしも保育室がからっぽになったら」。楽しそうでしょう?保育者らしいセンスに満ちた研究でした。
コメントでは「保育の当事者学を構築しましょう」とお話をさせていただきました。(そうだ、私たちこそ、保育の専門家だ)と感じて下さった先生方に、私が「当事者学」と出会った本を御紹介したいと思います。
中西正司 ・上野千鶴子 『当事者主権』 岩波書店 2003

私は何度、この本を読み返したことでしょうか。
上野千鶴子さんの本は、元気が出ます。(ときに出すぎます)
持続可能な多文化社会をめざして ― 2011/09/14
送っていただいた研修会の感想で「紹介された参考資料を読みます」と、うれしい言葉をいただきました。
最近研修会で紹介しているESD(Educational Sustainable Development:持続可能な開発のための教育)は、次の本でくわしく読むことができます。
最近研修会で紹介しているESD(Educational Sustainable Development:持続可能な開発のための教育)は、次の本でくわしく読むことができます。

五島敦子・関口知子「未来をつくる教育 ESD 持続可能な多文化社会をめざして」明石書店
(これも明石書店、いい仕事してますね~)
ESDの基底にある価値として、次のようなものが紹介されています。
●社会・経済的正義の尊重
●将来世代の人権の尊重
●地球のエコ・システムを含めた生物多様性へのケア
●文化の多様性の尊重
●寛容と非暴力の文化の尊重
また、持続可能な開発に不可欠な概念としてケア(ケアリング)が挙げられ、次の3つのケアを教育で大切にすることが紹介されています。
●自身へのケア
●相互のケア
●環境へのケア
今、わたしたちの価値を根底から揺さぶるような大きな悲しみが日本中を覆い、それはこれから長い間続こうとしています。この時に、消費主義や快楽主義の価値観を変えられないとすれば、これからも変えることは難しいかもしれません。成熟したわたしたちに脱皮できるのは、今だろうと思います。
ちいちいぱっぱ、かわいらしいこと、強い色刺激や音刺激、かん高い声・・・子どもを「幼稚なもの」におとしめ、喜ばせたり楽しませる幼児教育を、子ども自身が力を獲得するほんものの幼児教育に変えていきたい。次の世代は、もう消費や快楽では生きられません。
生涯の基礎を培う乳幼児期の教育では、上記の価値を、内容と方法として展開し、消費主義から子どもたちを守りたいですね。
メイヤロフ「ケアの本質」 ― 2011/08/28
ミルトン・メイヤロフ「ケアの本質」ゆみる出版,1987 原著は1971・・・

やっとメイヤロフに出会いました。
「一人の人格をケアするとは、最も深い意味で、その人が成長すること、自己実現することをたすけることである」
「他の人々をケアすることをとおして、他の人びとに役立つことによって、その人は自分の生の真の意味を生きているのである」
「ある人が成長するのを援助することは、少なくともその人が、何かあるもの、また彼以外の誰かをケアできるように援助することにほかならない」
内容を読み進むと、ケアの本質は、私たちが研究した「子育て支援者のコンピテンシー」と似通っています。
いえ、析出したコンピテンシーが哲学者の思索と共通していたというべきですが。
メイヤロフは、「ケアの主な要素」として、知識、リズムを変えること、忍耐、正直、信頼、謙遜、希望、勇気を挙げます。これらは、かつては教育のなかで大切にされ、大人が子どもに伝えてきた価値といえます。最近では、これらの要素が入った絵本を探すことが難しくなりました。
また、メイヤロフの説明するケアの要素は、消費社会では邪魔となるものが多いですね。受身で考えず判断せず、刺激・快楽、競争・優越を好む者が大量消費を支えます。自然や人との関係で喜びをつくりだせれば多くは必要ないですもの。
「一人の人格をケアするとは、最も深い意味で、その人が成長すること、自己実現することをたすけることである」
「他の人々をケアすることをとおして、他の人びとに役立つことによって、その人は自分の生の真の意味を生きているのである」
「ある人が成長するのを援助することは、少なくともその人が、何かあるもの、また彼以外の誰かをケアできるように援助することにほかならない」
内容を読み進むと、ケアの本質は、私たちが研究した「子育て支援者のコンピテンシー」と似通っています。
いえ、析出したコンピテンシーが哲学者の思索と共通していたというべきですが。
メイヤロフは、「ケアの主な要素」として、知識、リズムを変えること、忍耐、正直、信頼、謙遜、希望、勇気を挙げます。これらは、かつては教育のなかで大切にされ、大人が子どもに伝えてきた価値といえます。最近では、これらの要素が入った絵本を探すことが難しくなりました。
また、メイヤロフの説明するケアの要素は、消費社会では邪魔となるものが多いですね。受身で考えず判断せず、刺激・快楽、競争・優越を好む者が大量消費を支えます。自然や人との関係で喜びをつくりだせれば多くは必要ないですもの。
「ケアの本質」は、看護・教育・福祉など対人援助職に共通する価値と、大人が子どもに伝える価値について、考えるヒントを与えてくれます。
それにしても大人の社会にあふれるいじめ、虐待、暴力、人権侵害の言葉の数々。日本の教育は、人を大切にしケアすることができる大人を育てるという点で成功しているとはいえません。幼児教育の場で、短絡的にパンチで解決するヒーローを与えたり、先生が戦いごっこを推奨するのは、そろそろやめにしたいものです。
それにしても大人の社会にあふれるいじめ、虐待、暴力、人権侵害の言葉の数々。日本の教育は、人を大切にしケアすることができる大人を育てるという点で成功しているとはいえません。幼児教育の場で、短絡的にパンチで解決するヒーローを与えたり、先生が戦いごっこを推奨するのは、そろそろやめにしたいものです。