テーマは「子どもの発達とおもちゃ」2010/09/19

先週は、未来を育てる会主催の子育て支援コーディネイター講座、テーマは「発達とおもちゃ」でした。平日は手一杯で講演会は断り続けの私ですが、遠くから大学まで足を運んでくださる先生方、本当にありがとうございます。

おもちゃって絵本と同様に、保育者の専門性が見えやすいものの一つです。学生たちには、「ちゃんと選ばないと、保護者から信頼されないわよ~~~」と脅していますが、選び方によっては、「この人、普通のお姉ちゃん?」とか「幼稚なお兄ちゃん?」と、専門知識がないと誤解されてしまう可能性があります。

絵本やおもちゃを含む遊びの素材の選択には、その先生の持つ子どもの発達に関する知識、子どもの文化の知識などが現れます。保護者と同じ知識量では、プロとはいえません。

よく、研修会で行っているワークを園でもやってみたいという先生方のために、写真を貼り付けておきますので、ご活用下さいね。(他にも人形、ブロックなどの写真を使ってみて下さい)

「右のおもちゃと左のおもちゃ、何歳のクラスにどちらを保育室に置きますか?その根拠(理由)は何ですか。」・・2、3人で考え、その後発表し意見交換をしてみましょう。わかっていても、言葉で説明することは意外に難しいと思います。


1、2歳児クラスでは必ず押さえておきたいことが、1歳半~3歳頃には、見立ての力が育つ敏感期であるということ。この時期には、できるだけ単純で見立てやすい遊びの素材を準備します。水、泥、砂、草、石ころ、花びらなどは、子どもの想像力で何にでも変身する万能素材です。 想像力が伸びる時期に、先に文字や色、数字などの概念を教えこむのはもったいない。この時期に想像力がしっかりと伸びた子どもは、4歳すぎから、「なぜ」「どうして」「これは何」という知識欲の時代がやってきます。5歳では二週間で覚えてしまうひらがなを、1、2歳で教えようと思えば、一年以上かかります。時間とエネルギーの無駄です。またその時期に伸ばせなかった想像力は、後で伸ばすことが困難です。

子どもって、身のまわりのほんのわずかなもので、たくさんの喜びをつくり出すことができます。私たち大人も、この力を持ち続けていたら、どんなに幸せでしょう。大人の感覚で、ゴテゴテ飾ることをやめ、できるだけ、子ども自身が考えたり工夫できる素材を準備したいものです。

保育実習室にある、お手玉や、箱などが、無地に近い柄であるのも、原色ではなくアースカラーなのも、キャラクターがついていないのも、子どもの発達支援を考えて、色や模様を選んでいるからなのです。



千葉の和光保育園へ行ってきました2010/07/13



東京駅からバスに乗り、千葉のわこう村・和光保育園へ行ってきました。
今年は、「保育所の養護機能」を研究しています。生活、文化といえば、千葉のわこう村には行かねばならないでしょう。研究メンバーの圓藤弘典先生の御紹介を受け、鈴木眞廣先生にお話を伺いに行きました。



「昔からそこにあったように建ててほしい」という鈴木先生の依頼通り、古民家のような雰囲気です。



人工的な材質や色を避け、自然の色が保育室内にもあふれています。羊水という大海から生まれたばかりの子どもたち。環境のすべてを五感から取り込む乳児期、幼児期には、子どもの体(自然)と調和する環境をつくりたいものです。

保育室内も、風が吹き抜けていきます。 保育室が、こんなに落ち着くのは私が昭和世代だから?



大きな子どものクラスにも畳があります。この空間の居心地のよさといったらもうたまらない。(研究なんかどうでもいい、ゆったりと子どもたちの姿をみていたい)、そんな気持になってしまいます。(環境の影響を受けやすい私はやっぱり3歳児)



おみこしの練習が始まりました。子どもの声の張りと真剣さ、集中の度合いに、日頃の保育のていねいさが伝わってきます。先生の指導もうまい。

ここには、手をかけられた自然があります。あなたは、ここに在るだけでよい、と環境全体が、子どもも保育者も包みこんでくれるようです。つながり、かかわり、節度、ちょうどよさ・・・現代社会が失おうとしている価値観が、わこう村にはありました。

園庭に参りました2010/05/01

昨年は、保育所の教育機能研究のために、環境がすばらしいと言われている園にあちこちお伺いしました。そのなかでも、川和保育園は圧巻でした。雑誌等でよく取り上げられている有名な園です。

園庭のみならず、保育室内を見ても、本当に先生方がよく勉強されていることがわかります。中でも園庭はため息の連続でした。



まるでリゾートのような園庭。とても暑い日にお伺いしましたが、緑に覆われて涼しく感じます。



保育園でバナナボート・・・・なんとうらやましい。



デッキテラスで子どもたちが食事の準備を始めていました。この園の子どもたちは、何と豊かな暮らしをしていることでしょう。

子どもたちが土や緑にふれることは、今ではとてもぜいたくな活動。リゾートやキャンプに連れていってもらえる子どもや、大人たちががんばって冒険遊び場活動をしている地域の子ども、程度になりはじめています。自然がたっぷりあっても、親がよほど教育熱心でない限り、自然にかかわって遊ぶことは少なくなりました。

地域や家庭の環境を考えると、保育園はもう小学校のグラウンドのような状態ではいられないわけですが、しかしでこぼこをつくれば、服は汚れ小さなけがも起きます。保育者が保護者を納得させることができるだけの覚悟と専門性が必要です。

これほどのダイナミックな園庭で保育を行うためには、どれほどの専門性と覚悟が必要か、この環境を生み出している寺田園長先生の子どもへの深い慈愛と信念に、最も感動して帰ってきたのでした。



子どもの作品を飾る2010/04/26

お迎えにくるたびに、いろいろな作品ができあがっていると保護者も楽しいでしょうね。(光照寺保育園)



子どもの作品を素敵なインテリアにしてしまう保育者のセンスには脱帽です。(光照寺保育園)

色画用紙のくまちゃんって必要?2010/04/26

毎月の壁面制作は、いつからか保育雑誌の定番となっていますが、あの色画用紙の飾りって本当に必要なのでしょうか。どうひいき目に見ても素敵ではないし、子どもの感性が育つとはあまり思えません。それよりも野の花を生けたり、素敵な絵をかけたりしたほうがよいのではないかしら・・と思ってきました。

最近では、壁に色画用紙を貼らない園も増えてきました。壁には人形や小物で物語が作ってあったり、子どもの作品を素敵に飾ったりしています。

こちらは6月の飾り。(正光乳児保育園)



冬の季節はこんな感じ。(正光乳児保育園)



毛筆で書いた文字って絵になりますねえ。(ながかみ保育園)



素敵な園があったら教えて下さい。

子どもと保護者を迎える素敵な玄関2010/04/25



園の玄関は園の顔。花一杯の玄関、子どもたちの作品が並ぶ玄関、どの園も工夫にあふれています。写真は浜松市にあるこまつ保育園。センスのよさが光ります。



今日のお誕生日の子どもや先生の名前が玄関に書いてあります。きっとこの園ではみんなから「おめでとう」と声をかけてもらえるのでしょう。



玄関には保育ポートフォリオが並べられています。掲示した写真をファイルにまとめたもの。この形だと、保護者は時間があるときにゆっくりと写真をながめることができますね。保護者がファイルを見ながら子どもに話を聞く姿もあるそうです。

保護者を迎える素敵な廊下2010/04/25

(三鷹駅前保育園)
センスのいい園におじゃますると、ほっとなごむと同時に、気持がシャッキリとして大学に戻ります。不思議に研究室に戻ると掃除をしたくなるのですよね。

きっと毎日この園を利用する保護者も、ほっと安心してそして、(さあもうひとがんばり)と、子どもの手を引いて家へ戻るのでしょうね。

玄関や廊下には、園の先生方の子どもや保護者へのあたたかい心遣いが現れます。園の文化が、家庭の暮らしに影響を与えることもあるでしょう。忙しい中で心配りを重ねる先生方には頭が下がります。